滲出性中耳炎


【原因】
1, 鼻の疾患やアデノイド肥大などで耳と鼻とをつなぐ耳管の働きが悪くなり耳管狭窄をおこすと、
 中耳腔内の圧力が陰圧になり、周囲から液体が出て来て貯留します。


2、あるいは以前に急性中耳炎罹患後、完全に治癒しきれなかったため滲出性中耳炎に移行してしまった。
  などの原因があげられます。


【症状】
 鼓膜の内側に滲出液がたまって、耳が聞こえにくくなりますが、通常痛みなどは伴わないため
 発見が遅れることがままあります。

【治療方針】
(1)幼小児期は、言語学習の大切な時期なので, 軽度の難聴でも決して放置しないでください。


(2滲出性中耳炎では滲出液が中耳腔(鼓膜の内側の空洞)の粘膜に病的な異常を起こし、
 中耳粘膜から滲出液が出易くなったり、炎症を起こしやすくなったりします。
 この粘膜に耳管(中耳と鼻とをつなぐ管です)経由でウイルス、細菌などが行くと、
 滲出性中耳炎粘膜では自浄作用も少なく、滲出液が繁殖の場所になりやすいため炎症性
 中耳炎(急性中耳炎の反復)を起こしやすくなります


【治療の実際】
(1),耳管周囲の調子をよくすること(鼻の治療)


(2),耳管通気をすること(ポリツエル通気、カテーテル通気など鼻から耳管経由で中耳に空気を送ることです


(3),中耳粘膜や、耳管粘膜を正常化させるような薬の投与(ムコダイン、マクロライド系の抗生物質)


(4)難聴の程度や、保存的治療で治癒傾向がみられない場合、鼓膜切開などで中の液の排泄を図ります。
 しかし鼓膜の穴はすぐに閉鎖してしまい、粘液が出きらないうちに閉鎖すると、また鼓膜切開しなければなりません。
 しばらく鼓膜に穴が空いている状態にするために行われるのが
鼓膜チューブ挿入です。
 少しの間(6〜12ヶ月ぐらい)鼓膜に穴をあけて通気チューブを立て,換気をよくすることで,
 中耳内の液の排泄と中耳の粘膜の改善を図ろうという目的です。
 滲出性中耳炎は症状により何ヶ月もかかる場合もあります。
 大人になれば,治療していると自然に治って行くケースが多いですが、難聴による言葉の遅れの防止、
  滲出性中耳炎を治療しないで放置しておくと大人になって鼓膜癒着などを起こし難聴が続く場合もあります。